ガスパ活動記録(しない)

ツイッターに載せきれない長文とかを投稿するよ

青年はミュージシャンを目指す

 世界有数の繁華街、ジュレット。そこは昼夜を問わず出会いを求める者で溢れていた。その『出会い』の意味は概ね健全なものではないのだが、そんな裏事情はおのぼりさんことガスパールの与り知るところではない。

 出会いといえばジュレット、出会いといえば酒場。つまり最強の出会いの場はジュレットの酒場であると愚かにも結論づけてしまったガスパール。うきうきとジュレットの酒場へ入っていった。

 そもそも何故、ガスパールが出会いを求めているのかというと、それは音楽活動をする仲間が欲しかったからである。いわゆるバンドを組みたいのだが、自身はリュートと微妙な歌声しか持っていない。もっと技術のある仲間がいれば簡単に有名になれるだろうと考えていた。よくもまあ、そんな浅い考えで仲間が集まると思ったものだ。

 

 酒場には、歌って踊る若者など巨万といる。ガスパールには、その若者たちがミュージシャンを目指す同志であるように見えた。

 それからは地獄の日々である。精々ちやほやされたい程度で音楽をやっている者が大半を占めるこの酒場では、真面目に音楽に取り組む者などいなかった。来る日も来る日もガスパールは、声をかけては煙たがられ、話に交ざれば知らん顔された。ミュージシャンを本気で目指している奴がいる、と酒場では有名になり、次第にガスパールに近づく者は減っていった。

 

 あっという間にガスパールは挫折した。世間知らずの青年には、他の場所に行ってみるという考えもない。

 さらに、滞在した場所が悪かった。酒場通いを諦めて、ふとジュレット全景を眺めたとき目に映ったのは、楽しげな無数の男女。ウェディにオーガ、エルフやドワーフプクリポや人間、つまりは世界を凝縮したような広場がそこにあった。

 生き生きとし続けるのは難しいが、腐るのは簡単である。夢を追うことを諦めたガスパールは、きらびやかな『出会い』を求める世界にどっぷりハマってしまったのである。